Google、「検索ツール」リリース

~ ユニバーサル検索への大きな変化への一歩

Vol. 374 2009/05/21

伊藤 香代子

ここ最近、Googleから新しいツールが立て続けに発表されています。
 沢山あるリリースの中のひとつ?位に軽く思っていた「検索ツール」でしたが、調べていくうちにGoogleが大きく変化をしていこうとする大きな一歩として「検索ツール」をリリースしたということが強く実感できました。ひとつひとつ追って見ていきたいと思います。

 ●検索ツール(Search Options)

Googleの検索結果を見てみます。検索結果は特に変わりばえもないようにも思いますが、ページ最上部のGoogleのロゴの下に『検索ツールを表示』というテキストリンクが追加されています。
 リンクをクリックすると検索結果の左側にサブメニューが表示されます。(図1参照)
 「検索ツール」はこの各項目を選択して絞り込むことでより効率的に情報を導き出せる、というものです。
 フィルタリングの項目は、

  1. 情報形態指定 (動画/掲示板)
  2. 期間指定   (最近の結果/24時間以内/1週間以内/1年以内)
  3. 表示追加指定 (画像表示/長い要約文)
  4. ワンダーホイール

最後の「ワンダーホイール」がちょっと見慣れない感じですが、最初の3つについては明解です。
 ですが、いざ利用してみると、さすがGoogle、シンプルさはそのまま、画面が煩雑になることなく実に使い易い作りになっています。

▲ 図1Google「検索ツール」
 表示された状態

【情報形態指定・期間指定】

「動画」を選択すると、検索結果の左側に映像のサムネイルが表示され、検索結果には日付の他に再生時間も掲載されます。サブメニューの内容は、さら に絞り込みを行えるよう内容が変わり、再生時間や期間でさらに細かく絞り込みが追加出来ます。絞り込みの内容が「検索ツール」リンクの左横にパンくず形式 で表示されるので、繰り返し絞り込んでも確認したい検索結果の状態へすぐ戻ることが出来ます。「ワンダーホイール」以外は全てこの仕様になっています。
 ちなみに、「掲示板」を選択すると、『投稿件数』。「期間指定」を選択すると「21時間前」「1日前」のように『更新時間』もしくは『更新年月日』が補足的に表示されます。絞り込む内容によってより必要な補足情報にさりげなく変化する訳です。
 この原稿を書きながらフル活用したのは言うまでもありません。

【表示追加指定】

「画像表示」については、検索結果の右側に画像が1つ、もしくは2つ掲載されます。表示される画像は、webサイトのサムネイルではなく、webサ イト内で使用されている画像をプレビューさせています。限られたスペースの中でwebサイト全体の縮小画面が表示されてもその違いはあまりよくわかりませ ん。使用画像を表示する方がwebサイトの内容が把握しやすいとも言えるかも知れません。
 「長い要約文」は、掲載される要約文が通常よりも3倍程度(最大6~7行)多く表示されます。こちらは逆にテキストの情報量を増やしてwebサイトの内容を把握しやすくしています。
 クリックをして的外れなwebサイトへ行っては戻りを繰り返す事はある種検索をする上で仕方のない作業のようになっていましたが、これによって無駄足を踏む回数が減るのではないでしょうか。

【ワンダーホイール】

個人的には今回の「検索ツール」の中で一番意外なリリースでした。Googleが検索結果をFlashで動的に表示するということに一瞬違和感を覚 えたからです。機能としては、検索したキーワードに関連する検索語をFlashを利用して動的に放射状のツリー構造で表示する機能です。
 検索をしようと思う際に、必ずしもキーワードが明確に決まっている訳ではありません。絞り込むべき適切なキーワードがわからないこともしばしばです。そんな時にヒントをくれ、また自分では思いつかないようなキーワードや発想を求めている時に最適かも知れません。

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▲ 「動画」で絞り込み ▲ 「画像」で絞り込み ▲ 「ワンダーホイール」

 ●「検索ツール」リリースの示すこと

さて、これら紹介してきたツール機能は、どれも決して目新しいものではありません。「期間指定」や「情報形態指定」は『検索オプション』や 『site演算子』を使えばほぼ同じ結果を得られましたし、「画像表示」や「ワンダーホイール」は日本の検索エンジンでもすでに実現されているもので、 CBNEWSの中でも取り上げたこともあるものです。

CBNEWS Vol.321「いますでにここにある日本国産検索エンジン」
 http://www.cb21.co.jp/catchballnews/2006/cbnews321

ある種おいしいとこどり的にそれら機能をひとつの画面の中に盛り込んでくる感じや、あえて検索の難易度を下げるような提案には、何となくGoogleらしくないと思わなくもありませんでした。
 ですが、その変化こそがGoogleがここ数年つき進めている『ユニバーサル検索』を推し進める本気度の表れのひとつでもありました。

 ●ユニバーサル検索とは

米Googleが2007年5月に発表した新しい検索技術です。検索結果画面に、webページに限らず、画像・動画・商品・ニュース・地図・blog・学術情報など、ユーザの要望に適した多様なコンテンツを複合的に表示するのが特徴です。

たとえば「猫」で検索した際に、猫に関するwebページだけでなく、猫の写真・猫の動画も一緒に検索結果に表示されます。
 「千代田区 公園」なら、千代田区の公園に関する情報が掲載された地図が表示されます。

インターネットも進化し、web上に掲載できるコンテンツも多様化しています。ユーザが求める情報も求める内容によっては、webページが最適であ るとは限りません。見た目がどんなものかを知りたいのなら画像そのものを。場所を知りたいのなら、直接地図を。作る過程を知りたいのなら、それを理解しや すい動画を、ダイレクトに表示した方が効率がいい訳です。
 Googleは、異なる種類の情報を自動的に比較し、ランク付けする技術を開発しており、今回のアップグレード、UI刷新により、これらのことが普段と同じ1つの検索画面の中で情報が得られるように進化させた訳です。

Googleは、ユニバーサル検索をコア技術の一つとして推し進めており、年初には2009年の春以降に検索結果のUI(ユーザ・インターフェイ ス)を抜本的に変更すると発表していました。今回のリリースは、ここ数年繰り返し行われてきた様々なテストからフィードバックを得た上での満を持しての変 更だと思われます。

新しい「検索ツール」のアピールとユーザへの熱いメッセージが Google Japan Blog に掲載されています。

「Googleが目指す最高の検索UI」(Google Japan Blog)
 http://googlejapan.blogspot.com/2009/05/googleui.html

 ●ユニバーサル検索に対応するSEO(検索エンジン最適化)とは

ユニバーサル検索と書くとなんだか難解な感じもしますが、Googleの目的は「いかにユーザが効率よく目的の情報にたどりつけるか」であ り、その姿勢になんら変わりはありません。SEOの施策自体もここ数年結局変わりはありません。「『魅力的なコンテンツ』を『理解しやすいレイアウト』で 配置し、『適切なコーディング』で記述する」というある種王道の施策をおざなりに、小手先の施策を行っても長い目で見ればあまり効果はないと言えるのでは ないでしょうか。

そもそも「ユニバーサル検索に対応するSEO」という表現自体がSEOへの誤解を招く表現かも知れません。

今回原稿を書くに辺り、何度も「検索ツール」を試してみていますが、絞り込みがされた際にその検索結果に対し、「マッチング感のある画像」、「理解しやすい要約文」が的確に表示されているとは言いがたい印象を全体的に受けました。
Google 側の検索精度も今後改善されていくかと思われますが、今回ランク付けの技術が変化したこと、また検索結果として現れる画面が増えた、ことを考えるとやはり 運営・管理しているwebサイトが各種絞り込みによってどのような表示をするのか、意識してチェックをしておく必要はあると感じました。

「いかに上位表示させるか」という視点だけでは、webサイトに施す手立てにもおのずと限界が生じます。ですが、ユニバーサル検索がより精度を増してなお、いかに適切に表示出来るかどうか、出来ることはまだまだ沢山あると再認識しています。

 

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