クロスブラウザテストサービスを利用する

~ 複雑化するweb検証を効率良く

Vol. 381 2009/09/03

伊藤 香代子

▲ 「Adobe BrowserLab」

Web制作やWeb開発に関わる者にとって常に頭が痛いのは、ユーザが利用するOSやWebブラウザが複数存在する、ということです。
 Webデザインをする上で必要なコーディング作業は、Webサイトを表示するOSやブラウザの種類、組み合わせによって表示が異なったり、時にレイアウトに不具合が発生したりとそれを確認・調整をするための検証作業が欠かせないからです。
 Web管理者の方も同じような煩わしさをお持ちではないでしょうか。
 今回は、Web検証の必要性と検証を行う上で便利なサービスについてご紹介したいと思います。

 ●最近の日本国内のOS・ブラウザシェア

まずは最近の国内のOSやブラウザのシェアはどのようになっているのでしょうか。
 2009年2月に行われた調査結果によると

「Jストリームはブラウザ、映像アプリケーションのプラグイン調査を実施」
http://www.stream.co.jp/company/press/2009/090507_01/

OS環境については、Windows全体のシェアが2年前と変わらず90%以上。Macintoshユーザーが約2%増えてはいるものの、全体の66%を占めるWindows XPが、現在のメインOSと言って問題ないようです。

ブラウザ使用環境については、2年の間にブラウザ自体の多様化が進んでいることがわかります。
 Internet Explorer(以後「IE」)全体で65%を占めてはいますが、2年前には90%近かったシェアは激減しています。Firefoxのシェアが10%以 上増えていること、さらに調査後の3月にはIE8.0、6月にはFirefox3.0・Safari4.0が続々リリースと、さらにシェアの細分化が進ん でいると思われます。

 [OS環境] (上位のみPickup、他「etc.」へ)

【2009年2月】   【2007年9月】
Win XP 66.61%
Win Vista 23.00%
Mac 6.02%
Win 2000 2.58%
etc. 1.79%
 
Win XP 80.26%
Win Vista 6.03%
Mac 5.79%
etc. 4.03%
Win 2000 3.90%

  [ブラウザ使用環境] (上位のみPickup、他「etc.」へ)

【2009年2月】   【2007年9月】
IE7.0(Win) 42.44%
IE6.0(Win) 23.09%
Firefox 18.19%
Sleipnir 4.82%
Safari(Mac OSX) 3.89%
Chrome 3.88%
etc. 3.70%
 
IE6.0(Win) 72.64%
IE7.0(Win) 14.51%
Firefox 5.29%
その他 3.12%
Safari(Mac OSX) 1.93%
etc. 1.69%
IE5.5(Win) 0.83%
※etc.内訳(Opera・IE8・Sleipnir 他)   ※etc.内訳(Netscape・IE5.0・Mac IE5.1,IE5.2 他)

ブラウザの種類・バージョンの多さを見るにつけ、自分自身が普段使っているブラウザで検証を完結してしまいたいところですが、Webサイトを見て欲しいのはどんなユーザなのかを念頭に置きつつ、OSやブラウザのシェア状況の把握はある程度必要なことではないかと思います。

 ●W3C(World Wide Web Consortium)

検証ブラウザを選択する上では、シェアと併せて気をつける部分がもうひとつあります。

現在各ブラウザが次世代に向けて進めている方向性のひとつに「W3C(World Wide Web Consortium )」 が定めた「Web標準への準拠」があります。ブラウザ毎に異なるCSSの解釈やHTMLの独自拡張を減らし、ブラウザ毎の異なる表示の違いを解消しようと する動きです。準拠度の高いブラウザを「モダンブラウザ」と表現しますが、2003年から2004年にかけてリリースされたFirefox、Opera、 Safariがこれにあたります。これらブラウザはバージョンアップを重ね進化しています。
 先に紹介したシェアの高いIE6、IE7がこの準拠への流れに遅れをとっていることが、Web検証をする上で大きな弊害となっています。
 いまだ20%以上のシェアを持つIE6もリリースされたのは2001年。CSSの解釈に多くのバグを抱えたままリリースされ、今に到ります。それはIE7 においても完全には解消されていません。バージョン8がすでに発表されていますが、同じIEの中でもバージョン毎に表示が異なるという現実は残ったままで あることに変わりありません。

シェアの高さと表示確認という意味でいえば、IEの確認だけで問題ないようにも思えますが、長い目で見た場合、IEもWeb標準への準拠を目指して いるという意味では、検証したいWebサイトがモダンブラウザ上で正しく表示されているかどうかの確認が、むしろ必要であるかと思います。

モダンブラウザのシェアが増え、早く表示が統一されることを祈りつつ、当面は、ブラウザの多様化をより一層意識しておく必要がありそうです。

 ●便利なクロスブラウザテストサービス

検証する対象のブラウザが増えれば増える程、その環境を用意することも難しくなってきます。検証をする上で便利に使えるクロスブラウザテストサービスをご紹介します。

「Adobe BrowserLab」https://browserlab.adobe.com/

2009年6月にプレビュー版がリリースされました。以下のOS、ブラウザ環境をテストできます。

Windows XP - IE6.0・IE7.0・Firefox2.0・Firefox3.0
Mac OSX - Safari3.0・Firefox2.0・Firefox3.0

Windows(XPおよびVista)、Macintosh(OS X 10.4以降)共にオンラインで利用できるという点と、検証対象OSにMacintoshのOSXが含まれていることは大きな特徴ではないでしょうか。
 使用する為にはメールアドレスとパスワードの設定が必要であることと、「Adobe Flash 10」がインストールされている必要があります。現時点では英語版のみですが、インターフェイスは非常にシンプルで特に問題なく利用することができます。
 「2-up View」という機能では違う環境の表示を横に2つ並べて比較が出来ます。縦横のスクロールも同時に動くため大変便利です。また「Onion Skin View」という機能を使うと、2つの表示を重ねて確認することもできます。
 オンラインサービスということで、環境を選ばず簡単に利用できる反面、オンラインが故に場合によっては表示に時間がかかるということと、ローカル環境上のデータのテストが出来ないのが難点です。
 現在はIE8.0がテスト対象に入っていませんが、サポートする言語、ブラウザ、OSは、需要やフィードバックを基に拡大するということなので、期待したいところです。

IE8.0までをテストできるサービスということではこちら

「Microsoft Expression Web SuperPreview for Windows Internet Explorer」
 ※但し、IE8がインストールされている環境が条件です。

Macintoshには対応していませんが、機能や対象テスト環境としては上記「Adobe BrowserLab」とほぼ同じで、こちらはローカル環境にあるデータについてもテストが可能です。Microsoftの純正ツールということで、表示 結果に対する信頼性の高さは一番ではないか...とご紹介する予定でしたが、こちら、実はこの機能を含む製品版「Microsoft Expression Web 3」が発売されたことに伴い、残念ながらここ数日の間にダウンロードセンターからのリンクが消去されてしまいました。
 ※初期のプレビュー版であれば、Expression Web Team Blog内 からはまだダウンロードが可能なようです。

その変わりと言ってはなんですが、同等のサービスが利用できるということでこちら

「IETester」http://www.my-debugbar.com/wiki/IETester/HomePage

対応プラットフォームはWindows XP(SP2以降)・VistaでIE7以降がインストールされているのが条件です。ダウンロードページは英語ですが、UIの日本語化はされているので問 題なく使えます。ローカル環境のテストも可能です。IE5.5も含めたIE各バージョンの確認を1画面で同時に比較出来ることが大変魅力的です。

「BrowserLab」は「SuperPreview」と同じく有料化、もしくは商品化されることがすでに明示されているのでやはりいつまで無料 公開されているかは明確ではありません。また、いずれもあくまでテスト環境であるので、100%的確な表示であるとは限らないという点には注意が必要で す。

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