進化するオンラインワープロ

~ GoogleDocs、ZOHO、EtherPad

Vol. 384 2009/10/15

堀越 正男

●Google、M&Aの軌跡

 

▲ 「『Google』M&A路線図」

仕事がらICTやWEB関連の内外のニュースをまめにチェックしますが、相変わらずGoogleのニュースが目に付きます。こんな興味深い地図があります。GoogleがM&Aをしてきた企業を地下鉄路線図風にアレンジしたものです。

地図を作成したのは、米コンサルティング会社『MeettheBoss』で、この路線図を見れば、その企業が、今どこに向かっていて、どこで異質な路線に入り込んでしまい、どのように修正修復しようとしているかが一目瞭然に分ります。

2009年に入ってから影を潜めていたGoogleのM&A意欲が復活しそうです。最近では画像認証技術を手がける米 『reCAPTCHA』が話題になり、CEO・Eric Schmidtの「毎月小さな若い会社を最低でも1つは買いたい、それが、最高の才能を雇うための最良の方法だから」との発言もあったとのこと。 Google のM&Aは再び活発になるのでしょうか。

 ●二種類のGoogleウォッチャー

真剣になってGoogleの動向を見定めようとしている二種類の人たちがいます。
 一つは、Googleがどんなくしゃみをするかが死活問題の「SEO業者」です。彼らはGoogleの特許申請を詳細にチェックすることにより、次にどん なSEOが有効かを事前にチェックしているのです。SEO関連で最近話題になった"IPアドレス分散"は、「リンク元のIPアドレスを分析しそのリンクが ナチュラルなリンクなのか作為的なリンクなのかを判断するアルゴリズム」というGoogleの特許申請から派生したSEO手法です。
 上記の路線図に興味があるのは、もう一つのGoogleウォッチャー、投資関係の企業です。「Googleが次に買おうとしているのはどんなタイプの会社か?」という興味です。Googleのこれまでの買収と投資歴を見ると、その筋の専門家は類推できるのでしょうか?

路線図に戻ります。履歴ではやはりテクノロジ系Webサービス系が圧倒的に多いようです。最新のM&Aも気になります。これからどの路線が伸びていくのでしょうか?

MeettheBossによる同様の路線図もあります。

 ●機能が追加されるGoogleドキュメント

今日の主題はGoogleの買収歴の話ではありません。路線図中のWEBサービスの現在の終着駅にある『Upstartle』社が開発した 「Writely」です。おなじみの「Googleドキュメント」としてサービスされています。そのうちのワープロソフト「Writely」に関しては以 前CBニュースでご紹介したことがありました。

最近、訳あって数式を使う必要があり、ワープロで「二次方程式の解」をどう記述するかを調べていました。ちょうどその時期、GoogleDocsが方程式記述に対応したのです。
 話がそれますが、これはあきらかに教育機関向けの対応なのでしょう。Google が教育機関を狙っているのは明白です。本来は有料(年間50US$)の25GBのメールボックス容量を持つPremierEditionの GoogleAppsも、教育機関やNPO向けに無料で提供されています。在学中にGoogleAppsやGoogleDocsを使い慣れることによる卒 業後のブランドロイヤリティ持続を狙っているのでしょう。そういえば、学生や教職員個人版をディスカウント提供しているアプリは過去にもいくつもありま す。昔はApple社もMacintoshを学校に配っていたはずです。

さらにGoogleドキュメント全体では、プレゼンテーションに続いてフォルダーの共有機能と、次々と使い勝手が良くなっています。

 ●MS Word の二次方程式対応は?

PCのデファクトスタンダード"MSワード"では、二次方程式が書けたのかが気になって、ついでに調べてみました。
 Word2007では簡単です。【挿入】 ⇒ 【オブジェクト】で、事前にインストールされている【Microsoft数式3.0】を選択すればよいのです。
 Word2003は少し面倒です。【プログラムの追加と削除】で【数式エディタ】をインストールした後に、Word2007と同じ方法で【Microsoft数式3.0】を選択しなければなりませんが、出来るのですね。

残念ながら、現時点でのMicrosoft「Office Online」にはこの機能はないようです。

ワープロのヘビーユーザでない限り、使いやすいWEBワープロがあれば、もうローカルPC上にワープロソフトは必要ないかもしれません。 となると、他にも使いやすいオンラインワープロがあるのかが気になります。

 ●オンラインワープロ 「ZOHO」と「EtherPad」

『ZOHO』社はWEBサービスに特化した企業です。最大の特徴は、三種の神器(ワードプロセッサ・スプレッドシート・プレゼンテーショ ン)のいわるゆオンラインOffice以外にも、ToDoリストやスケジュール管理、データベースやCRM等のほとんどすべてのビジネスアプリを持ってい ることです。

ワープロに限っても、ZohoDocsも非常に軽快で使いやすいです。二次方程式の解もサポートしています。もちろんフル日本語対応です。基本的に 全サービスが無料で利用できますが、ストレージやユーザ数などの枠があり、それを越えた場合、もしくは一部機能は有料の提供となります。

「ワープロをオンラインで使う必要はないではないか。MSOfficeが高いというのであればOpenOfficeもあるし…」という疑問もあると思います。
 あえて「オンラインOffice」を使う最大の理由は、データの共有と共同編集です。例えばWEBページの作成で最初にやることはサイトマップ作りです。 ディレクトリー構造、ファイル名やタイトル名、SEOが必要でしたらキーワードなどを表計算ソフトに記入していくことが多いのですが、ディレクター、デザ イナー、コーダー、クライアントが離れた場所で作業するとき、オンラインで共有できるスプレッドシートがあるととても便利です。
 ドキュメント作りも同じです。ただし、ドキュメント作りの共同編集では問題が起こりがちです。複数のユーザが編集作業をしていると、どの段階でどのように改変したのかがわからなくなってしまうのです

▲ 「EtherPad」

この問題も解決してくれるオンラインワープロがあります。「EtherPad」です。

『EtherPad』には「Time-Slider」と呼ばれるタイムラインのバーがあり、リアルタイムで記録された文書作成編集の過程を始めから 高速再生してくれるのです。ワープロ機能こそ他に劣りますが、簡単なレイアウトができればいいエディタとして使用するには十分です。しかも誰がどのテキス トを追加修正したかが色分けされて見えるのは、とても使いがってのよい機能です。
 現在のサービスは英語のみですが、日本語も問題なく使用できました。ただし、FireFox3.5以降での確認です。IE8を含むその他のブラウザでは文字落ち・文字化けなどの問題が生じる可能性があるそうです。
 EtherPad にも無料版があり、ユーザ登録の必要もなく使用することができます。ただし、自動的に割り当てられるURLを忘れると再アクセスが出来なくなってしまうこ とと、ドキュメントは作成修正過程も含めて削除できないのでセキュリティ面が心配、という問題もかかえています。外に漏れても問題のない内容でのテストを お勧めします。その結果気に入ったら、よりセキュアな有料版を使用することになります。

 ●WEBサービスの死角は

「ZOHO」も「EtherPad」もそれぞれすばらしいオンラインワープロです。
 残る問題は継続性です。せっかくドキュメントを蓄積してみたものの、廃止廃業されてしまっては困ります。これが新サービス、特に無料のWEBサービスを使 う際の悩ましいところです。で結局はGoogle ドキュメントを多用してしまうのです。これが先行者利益というかマインドシェアを取った企業の強いところでしょうか?といってもGoogleでさえ、あの Yahoo!を追い落としてここまで来たのです。
 無料WEB版の「Microsoft Office 2010」の本格稼動も控えています。どこが最終的な勝者になるのでしょうか?より使いやすくなるよう、今後の展開を期待しています。

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