Webマーケティングも経営と直結する

~ カンバセーショナルマーケティング

Vol. 385 2009/10/29

大滝 徹也

先日、日本コカ・コーラ株式会社会長 魚谷雅彦氏をお見かけする機会があり、以前から気になっていた著書「こころを動かすマーケティング」を読んでみました。

そもそもマーケティングとは、「顧客の欲求と満足を探り、創造し、伝え、提供することにより、その成果として利益を得ること」と説明されています。
 マーケティングと聞くと、みなさんはどのようにイメージするでしょうか?

魚谷氏は「日本コカ・コーラはマーケティングの会社です」と述べています。
 また、P.F.ドラッカー氏は「現代の経営」の中で、「マーケティングは事業の最終成果、すなわち顧客の観点から見た全事業である。したがってマーケティングに対する関心と責任は、企業活動の全領域に浸透させることが不可欠である」と述べています。

このことから、マーケティングとは広い意味で経営全般のことを指していると言えるでしょう。
 今回のニュースでは、Webマーケティングの、ある一つの手法に焦点を当てたいと思います。

 ●人々の消費行動をみる

▲ 「男女別購入検討時の情報収集方法」
 (Web担当者Forum)

経済の世界では「行動経済学」という分野があります。
 行動経済学とは合理的に行動する人を対象にしている経済学の中に、「感情・直感・記憶」などの人々の心の働きを加味した、私たちの現実により即した経済の学問のことです。

例えば、ノートパソコンを買うときを想像してみてください。
 ある人は「仕様やスペック」を重視するかもしれないです。またある人は「デザイン」を重視するかもしれないです。「とりあえず直感でこれ!」と選ぶかもしれないです。
 その人の、その時の立場や状況や感情によって、人々の選択は変わってくるということがわかると思います。

では、人々はモノやサービスを選ぶときに何を参考にしているでしょうか?

Webマーケティングガイドとインターネット調査会社メディアインタラクティブの共同調査によると、「検索サイトを利用する」と回答した人が 89.6%で最も多く、次いで「比較サイトを利用する」の59.3%、そして「クチコミ情報サイトを利用する」の46.2%となっています。
 私自身、友人にお店やサービスを紹介してもらうとそれが気になってしまうことがあります。皆さんはそういった経験はありますか?
 そこで、今回はクチコミに注目してみました。

 【男性は「比較」 女性は「クチコミ」「サンプル」で購入検討】
 http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2008/06/19/3336

 ●クチコミサイトの利用状況

人々はクチコミサイトをどう利用しているのでしょうか。

Webマーケティングガイドとインターネット調査会社のボーダーズの共同調査で、クチコミ情報(ネット上)の利用状況を尋ねたデータによると、クチ コミ「情報収集をした」ユーザーは「家電製品」で最も多く74.6%、次いで「金融商品」の63.7%、そして「化粧品」が59.5%という結果となって います。

 【ネットユーザーに拡がるクロスメディア消費の正体とは?】
 http://japan.cnet.com/research/column/webreport/story/0,3800075674,20383593,00.htm

▲ 「よく利用される『口コミサイト』」
 (レポセン)

また、ボーダーズが運営するデータバンクサイト「レポセン」から抽出したデータによると、商品購入を検討する際に参考にしたことがある「クチコミサイト」は、「商品情報サイト」が84.4%で最も多く、次いで「ECサイトのクチコミレビュー」が47.2%となっています。

 【口コミサイトの利用動向】
 http://reposen.jp/1659/13/31.html

上記のデータからもわかるとおり、人々の消費行動においてWebサイトは重要な情報収集のツールであり、さらにクチコミやクチコミサイトも重要視してしていると言えるでしょう。

 ●ネット上の見えない消費者と対話をする

ここで今回ご紹介するのが、カンバセーショナルマーケティングで、SNSやブログを使って双方向のマーケティングをする、「ちゃんとクチコミをしてくれる人たち」に広めるクチコミマーケティングです。

インターネットの普及によって、購買決定までのプロセスが「AISAS」になったと言われています。
 (Attention=注意、Interest=関心、Search=検索、Action=購買、Share=情報共有 ※AISASは株式会社電通の登録商標です)
 グーグルアドワーズやSEOは最初の「A」の段階にいる人に訴求する方法だと言えます。そして、3番目の「S」の段階で人々はクチコミサイトや比較サイトを利用して情報収集してから商品を購入します。

最後の「S」である情報共有がインターネットのメリットであり、ここにフォーカスしたのがカンバセーショナルマーケティングです。情報をシェアしてくれる人や、クチコミ源をどうやって増やしていくかがポイントとなります。

いかにしてシェアしてくれるファンを増やすか。 カンバセーショナルマーケティングのリーディングカンパニーである、「アジャイルメディアネットワーク 」では、下記のように考えています。

インターネットの利用者を4つに分けています。

  • 自社のファン
  • 自社のファン兼ブロガー
  • 一般人
  • 一般のブロガー

Bの人たちを最重要視し、次にAの人たちです。
 ブログ等で自社の製品を好意的に書いている人を探し、直接アプローチをして情報提供を積極的に行うようにします。その人たちから製品などに関する声や周り の反応を聞き、自社のファンをさらに見つけて、どうすればもっとクチコミをしてもらえるかも見えてくるようになるというように考えています。
 要するに、直接目に見えない消費者と双方向のコミュニケーションを取るということです。

下記は、アジャイルメディア・ネットワーク株式会社の徳力氏がIDGのBusiness Blog & SNS Worldでカンバセーショナルマーケティングの講演を行ったときの資料です。

 【カンバセーショナルマーケティングの講演資料】
 http://blog.tokuriki.com/2008/05/conversational_marketing.html

ネット上の見えない消費者と対話をすることで、リスクマネジメントや顧客志向の上昇にも繋がるとも考えられます。

10月26日、27日に行われた世界経営者会議にて、高級腕時計メーカーのウブロのジャン・クロード・ビバーCEOはブランド力を高めるためにクチコミを重視していると話をしています。
 ウブロではネットで告知をし、150人規模の展示会の開催や新工場の見学会を開いているようです。

 【世界経営者会議】
 http://www.nikkei.co.jp/hensei/ngmf2009/20091026d3k2600g26.html

日本での事例としては、例えばキヤノンマーケティングジャパン株式会社やPENTAX株式会社はデジタルカメラの製品特徴などをブロガーに対して説明するブロガーミーティングを開催しているようです。
 現在の日本での傾向をみると、ブロガーに対してイベントやミーティングを行っている傾向にあるようです。

こうしたクチコミによるマーケティングは、世界的に普及していくのではないでしょうか。そして、クチコミマーケティングは今後どのようなインパクトを与えていくのでしょうか。今後も注目していきたいと思います。

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