~ 大きく進化する次世代 HTML
Vol. 389 2009/12/24
伊藤 香代子
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| ▲ 「HTML5 Canvas and Audio Experiment」 |
web標準をめぐる動きがにわかに騒がしくなっています。
2009年5月に開催された開発者会議「Google I/O」。このイベントでGoogleのCEOが「webのプログラミングモデルが主流となる時を迎えた」と開会直後に宣言。そしてその会議での内容は、 Googleが「今後の技術的な標準を『HTML5』においた」ことを明確に示す内容だったと言われています。
web業界を牽引するGoogleからの発表。それは一体どのようなことを意味するのでしょうか。今回は「HTML5」について取り上げたいと思います。
●web標準とは?HTML5に進化するまでの背景
上記に挙げた「web標準」とは、W3C(※1
)が勧告しているWWW関連の規格のことです。ソフトウェアにバージョンがあるように、HTMLにも歴史と共にバージョンが存在します。
web創成期、HTMLは本来文書構造を示すためだけに開発されたシンプルなものでしたが、機能強化や表現に対するユーザと制作者、両者からの要求に対応することで拡張され改善が進められてきました。
もともとSGML(※2
)という論理的な構造を記述するマークアップ言語であるべきという源流とも言えるルールがありましたが、HTMLはバージョン3.2において、レイアウトを美しく整形する目的の属性が広範囲に提供され、その精神からは大きく逸脱していく事になっていきます。
ブラウザ戦争(※3
) も重なり、各webブラウザがシェアを奪取する為の差別化を優先し、web標準とは異なるレンダリングエンジンをこぞって採用したため、同じHTMLでも OSやブラウザにより見え方が変わる、レイアウトが崩れるなど、結果ユーザにも開発側にも不利益な状態をもたらすこととなってしまいました。
これらのことは問題視され、HTML 4.0以降本来の原則に回帰する方向に改善が進められましたが普及は明確に進まず、今も数々の問題が残されている状態です。
●webが進化する上でHTML5が欠かせない理由
その間、webではFlashやAjaxなど目を見張るような技術が誕生し、普及してきました。
そして先に挙げた開発者会議から2ヶ月後、W3CはこれまでHTML規格として策定を進めていたXHTML2の策定作業終了を宣言し、今後はHTML5に注力することを発表しました。
以下にHTML5の大きな特徴を書き出してみました。
HTML5はHTML4のバージョンアップという位置づけですが、これまでのHTMLやXMLと大きく異なることがわかります。
●もう活用され始めている次世代HTML
新しい技術も実際に活用される場があり、普及しなければ意味がありません。
webブラウザ別に、又機能毎にこちらで細かく対応状況が紹介されています。
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| ▲ 「Chrome(Win)のHTML5対応状況」 |
最新版のSafari、Firefox、Chromeとすでに対応が進んでいることがわかります。
特徴的なのは、IEでしょうか。先に紹介をした開発者会議でも最大シェアを持つIEの対応が一番遅いと皮肉たっぷりに紹介されていましたが、遅れること 数ヶ月の11月、Microsoftはまだ開発に着手したばかりの次期ブラウザ「IE9」を紹介。HTML5などの新しいweb標準に準拠していることを アピールしました。HTML5という土俵の上で熾烈なシェア争いはすでに展開されています。
また次世代の技術と銘打っていますが、実はHTML5を実装した機器はすでに発売されています。6月にアメリカで発売された「Palm Pre」です。アプリケーション・ソフトウェア開発のプラットフォームをweb技術で固めた初めての機器と言われています。
「Palm Pre」は、スマートフォンです。今日本で急激に人気があがっているiPhoneやAndroid携帯も実はHTML5の標準機能を利用して作られています。webの技術でありながら、webよりも先にモバイルでの活用が先に進んでいくかも知れません。
このことは、HTML5がクロスプラットフォームであることを物語っています。
●目で見るHTML5
使われている機能によりブラウザの対応にまだバラツキがある為、目で見てその進化ぶりをお伝え出来るwebサイトがまだあまりないのです が、以下の2つはどちらも本来ならFlashでないと実現できなかったwebサイトです。(HTML5に対応しているwebブラウザでご覧下さい)
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| ▲ 「YouTube HTML5 Demo」 |
どちらもHTML5とCSS3、JavaScriptのみで実現されています。
YouTubeのデモサイトに至っては違いがわかりにくいですが、動画上で右クリックしてみると、Flashで動いているのではないという事がよく分かり ます。Flashのようなプラグインを使わずにJavaScriptベースでアニメーションや、動画のコントロールを実現出来るというのは大きな魅力で す。
HTML5は、2010年9月に正式勧告を予定しています。HTML4.01の勧告から10年。その間に登場した新しいweb技術を統一し た仕様になると言われています。完全にサポートされ開発側やユーザにその恩恵がもたらされるのにはまだ時間がかかるかと思いますが、飛躍的な進化を遂げる ことが出来るのか、要注目の技術であることは間違いありません。
※1 W3C
「World Wide Web Consortium」の略。WWWで使用される各種技術の標準化を推進、互換性を確保する為に設立された非営利団体です。http://www.w3.org/
※2 SGML
標準一般化マークアップ言語。Standard Generalized Markup Languageの略。正しいマークアップが行われることで、異なるコンピュータ・プラットフォーム間で、読み込みと認識が実現可能となる。それを実現させる為の言語。
※3 ブラウザ戦争
ウェブブラウザを提供する各社・各団体による市場シェア争奪戦。1990年代に起きたInternet ExplorerとNetscape Navigatorの猛烈な競争を第一次ブラウザ戦争、2004年以降Mozilla FirefoxやOperaが市場シェアを拡大することでInternet Explorerに脅威を与え始めたことを第二次ブラウザ戦争と呼ぶことが多い。