インターネットと法律

~著作権法改正の概要について

Vol. 396 2010/04/22

福田 章平

●米国議会図書館が、全公開ツイート(tweet)をアーカイブ

Twitterのパブリックデータを米国会図書館が獲得
(ITmedia News 2010/4/15)

2010年4月14日(米国時間)、米国議会図書館が、Twitterが開始された2006年3月以降の全公開ツイート(tweet)をアーカイブすると発表された。保存されたツイートは、検索エンジンには公開されず、米国議会図書館が許可した研究者に公開され、学術・研究目的の使用が想定されていると言われている。

Twitterのツイート数は月間10億件を突破し、秒間120万ツイートと言われる膨大なデータを保存するのだから大変なプロジェクトだ。その時点で起こった出来事に、大衆がどの様に反応したのかを観るのに良い資料となるだろうし、未来の研究者が、ツイートで使われている略語をどの様に解釈するのかを想像してみると、何か楽しい気がする。

さて、アーカイブされたツイートの著作権は、どうなるのだろう。アメリカでは、フェアユースと言う規定があり、公共の目的であれば、著作権者の許可がなくても著作物を使用できるのである。

では、日本では、どの様な規定があるのでしょうか。今回は、インターネット等でのデジタルコンテンツの流通促進のために改正された著作権法について、簡単にご紹介してみたいと思います。

Twitterのパブリックデータを米国会図書館が獲得(ITmedia News 2010/4/15)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1004/15/news016.html

なぜTwitterは低遅延のままスケールできたのか
秒間120万つぶやきを処理、Twitterシステムの“今”(@IT 2010/4/19)
http://www.atmarkit.co.jp/news/201004/19/twitter.html

フェアユース(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/フェアユース

●著作権法の改正

インターネット等を活用した著作物等の流通の促進や、障害者の情報利用の機会の確保などを目的として、2009年6月12日、第171回通常国会において、「著作権法の一部を改正する法律」が成立し、2010年1月1日から施行されました。

改正は、次の3本柱から構成されています。
(1)インターネット等を活用した著作物利用の円滑化を図るための措置
(2)違法な著作物の流通抑止のための措置
(3)障害者の情報利用の機会の確保のための措置

では、インターネットに関連する内容について簡単に見てみたいと思います。

1.インターネット等を活用した著作物利用の円滑化を図るための措置

著作権法の一部を改正する法律 概要:PDF(文化庁)

(1)インターネット情報の検索サービスを実施するための複製等に係る権利制限(47条の6)検索サービスに関する情報収集・解析に関する内容です。情報検索サービスに必要な行為は、著作権者の許諾を得なくても可能となりました。

[文化庁のコメント]
国内でも安心して情報検索サービスが実施できるようになり、次世代次世代サービス開発が加速。

(2)権利者不明の場合の利用の円滑化(67条, 67条の2, 103条等)
過去のテレビ番組等をインターネットで利用する場合、著作権者や実演家(俳優)が所在不明であるなどの理由で許諾が得られない場合でも、裁定制度を利用してコンテンツの利用が可能となりました。

[文化庁のコメント]
過去に放送されたテレビ番組のインターネット配信(例:NHKオンデマンド)等が行いやすくなり、新たなサービスが加速。

(3)国立国会図書館における所蔵資料の電子化(31条2項)
国立国会図書館に所蔵されている資料を、電子化できる様になりました。改正前は、損傷劣化した資料の保存目的のみ電子化が認められていました。

[文化庁のコメント]
出版物が納本直後の良好な状態で文化的遺産として保存され、将来の世代に引き継ぐことが可能。

(4)インターネット販売等での美術品等の画像掲載(47条の2)
権利者の承諾なしに、商品画像の掲載が可能となりました。

[文化庁のコメント]
美術品・写真を適法に販売できる法的環境が整備され、これらの著作物の円滑な流通が促進。

(5)情報解析研究のための複製(47条の7)
コンピュータによる情報解析を目的とする場合には、必要と認められる限度で、著作物の複製が可能となりました。

[文化庁のコメント]
社会学研究、言語学研究、音声・映像認識技術開発など情報処理を活用した様々な分野の研究開発が進展。

(6)送信の効率化等のための複製(47条の5)
キャッシュサーバーやバックアップサーバーなどにおける情報の蓄積は、著作権侵害とならないことが明確化されました。

[文化庁のコメント]
利用者にとって快適かつ安定したインターネットの利用環境を整備するとともに、円滑なデジタルコンテンツの流通環境も実現。

(7)電子機器利用時に必要な複製(47条の8)
電子機器の利用時に技術的処理過程で必要となる情報の一時的な蓄積行為は、著作権侵害とならないことを明確化。
Webブラウズ等で、一時的にコンピュータ内にデータが蓄積されるのは、グレーゾーンだったんですね。驚きです。

[文化庁のコメント]
利用者が安心して電子機器を利用できる環境を実現。

2.違法な著作物の流通抑止のための措置(113条1項2号, 30条1項3号等)

(1)海賊版と承知の上で行う販売の申出(広告行為)を権利侵害とする。(罰則あり)
(2)違法なインターネット配信による音楽・映像を違法と知りながら複製することを私的使用目的でも権利侵害とする。(罰則なし)

[文化庁のコメント]
違法な著作物の流通を抑止し、正規ビジネスの成長と権利者への適切な利益還元を促進。

著作権法の一部を改正する法律 概要(文化庁)
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/pdf/21_houkaisei_horitsu_gaiyou.pdf

この改正内容を見てみると、キャッシュサーバやウェブブラウザのキャッシュ等当たり前に行われていた行為も、法的に正当性が認められてなかったのかと驚かされます。
今後、電子出版等の動きが加速していきます。法整備の加速が望まれます。

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