~ 自社ブランドを強化するアプリ
Vol. 415 2011/08/04
福田 章平
●トリプルメディア
最近、マーケティングや企業の広報戦略を考える時、トリプルメディアという言葉を良く耳にします。
トリプルメディアとは、
1.「買うメディア(Paid Media)」
企業がお金を出して購入する、テレビ、新聞、雑誌等の広告枠の事。
2.「所有するメディア(Owned Media)」企業が自分で所有する、自社サイト、パンフレット、広報誌、社内報、店舗等の事。
3.「得るメディア(Earned Media)」Twitter、ブログ、SNS等のソーシャルメディアで流される口コミや、新聞・雑誌の記事等、評判や信頼を得るメディアの事。
の3つのメディアの事で、マーケティングや広報戦略を考える上で、この3つのメディアをどう組合わせて使って行くかが、とても重要な課題となります。
スマートフォンは、急速に普及しています。2010年度の携帯電話総出荷台数の22.7%(855万台)をスマートフォンが占めており、2015年度には、全体の74.0%(3,056万台)が、スマートフォンになると予測されています。また、スマートフォンのアプリの本数も、App Storeのアプリ数が35万本を突破し、 Android Market上のアプリ数も20万件を突破しています(2011年3月時点)。このアプリの中には、企業が提供しているもの(以下、「ブランドアプリ」と呼びます。)が、数多くあります。これらのブランドアプリは、自社サイトと同様な Owned Media と考える事ができ、ブランドイメージの向上やコアな企業ファン獲得に、今後重要な役割を果たしていくと考えられます。
●ブランドアプリは、面白い!
私が初めて触れたブランドアプリは、大塚食品株式会社の「JAVA TEA PARTY」でした。iPhoneに表示されたボトルから、iPadの中のグラスにJAVA TEAを注ぎ入れるアプリです。これを見た時は、本当に面白いと思いました。そして、その斬新さが、強く印象に残ったのを良く覚えています。
アプリを検索してみると、実に沢山のブランドアプリがあります。
ブランドアプリを私なりに、以下の様に分類して見ました。
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| 宴会トリス |
・エンターテイメント系
文字通り、ゲーム感覚の遊びのアプリです。
日清食品株式会社の「チキラー島となかまたち
」は、チキンラーメンのひよこが活躍する親子で楽しめる絵本アプリ。画面をタッチすると色々な仕掛けが飛び出す楽しいアプリです。
サントリーホールディングス株式会社は、沢山のアプリを提供していますが、その中で私が気に入っているのは、「宴会トリス
」。宴会を盛り上げるゲームが複数収められている大人のアプリ。割り勘計算機も付いていて、便利です。
・イメージ系
企業やブランドのイメージを形にしたアプリ。
「UNIQLOOKS
」(株式会社ユニクロ)は、「あらゆる人々のための服」というユニクロのブランドコンセプトを形にしたアプリ。自分のコーディネートを撮影し、同社が運営するファッションコミュニティ「UNIQLOOKS」に投稿できます。
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| Run with ASIMO |
変わったところでは、本田技研工業株式会社の「Run with ASIMO
」。
歩いた歩数の累計に応じて、1986年から現在のASIMOに至るまでの二足歩行ロボット開発の歴史を見せてくれる。Hondaのロボット開発への姿勢を形にしたアプリです。
・お役立ち系
お得な機能や、役立つ機能を搭載したアプリ。
日本交通株式会社は、GPS機能を利用して今いる場所に、タクシーを簡単に呼べるアプリ「日本交通タクシー 配車
」を提供しています。面倒な場所の説明をする必要も無く、到着先を入力すると、概算料金も分かる様になっています。
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| 面トレ |
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| あんけったー |
ユニークなのは、ホンダ販売会社グループが提供する、就職面接トレーニングアプリ「面トレ 」。実際の面接で出題頻度の高い60問の質問が、音声で出題されます。出される質問に答える事によって、就職面接の練習をする。アプリから、Honda Carsの就職サイトにリンクされています。
手前味噌ですが、弊社でもアプリを出しております。簡単にアンケートを作成し、自分のTwitterフォロワーに質問できるアプリ「あんけったー 」。ご興味があれば、是非、お試し下さい。
●ブランドアプリの位置付け
スマートフォンを使う醍醐味は、アプリにあります。しかし、アプリを使うには、手間が掛かります。使いたいアプリを見つけ出し、ダウンロードしなくてはなりません。この様な、手間を掛けてもブランドアプリを使うということは、よっぽどの物好きか、元々、その企業にシンパシーを持っているユーザであると考えられます。
ブランドアプリには、Webの様な大規模な広告宣伝効果は、ありません。広くユーザに訴求し使って貰うには、手間が掛かりすぎるからです。しかし、その企業や製品に、興味をもっているユーザとの結び付きを強化し、囲い込みを強化するには、最適なメディアと言えます。また、ブランドアプリは、楽しさ、スマートさ、先進性など企業や製品のイメージを見た人に強く印象付けます。話題作りには、強力なツールと言えるでしょう。
Webの様なマスなメディアと、Twitter、Facebookの様なソーシャルメディアの間に位置し、補完的な役割を果たしているのが、ブランドアプリであると言えるのではないでしょうか。これから、爆発的に拡大して行くスマートフォンの市場を見る時、今後、ブランドアプリは、渋い名脇役的な、目立たないながら、重要な存在となっていくのではないかと思うのです。