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巨大フリー百科事典「Wikipedia」
〜 不特定多数による共同編集は信頼できるか?
Vol.295 06/03/16
2005〜2006年のインターネット界最大のキーワード「Web2.0」が語られるとき、必ず取り上げられるのが「Wikipedia(ウィキペディア)」です。
「Wikipedia」はインターネット上に構築された、ユーザー参加型の巨大な百科事典です。 Nielsen/NetRatings社の2005年9月の調査によると、Wikipediaのアクセス数は月間1,280万人で、Alexaの2006年2月のアクセス数ランキングでは全サイト中18位(2005年12月では25位、8月では50位)と、更に急激にアクセス数を延ばしています。
特徴は、
等で、もちろん無料で使用することができます。 「ボランティア」「誰でも匿名で書き込みが自由である」というと、「2ちゃんねる」を思い起こす人が多いでしょう。ではWikipediaは2chとどう違うのでしょうか?しかも単なる掲示板ではなく百科事典なのです。 Wikipediaの構造は2chよりも更に過激です。それは、2chはあくまでも自分の投稿ができるだけですが、Wikipediaでは他の人が書いた文章を書き換えてしまうことができるからです。 市販の百科事典は、その分野の専門家が執筆し、推敲編集されて人の目に触れるのですが、Wikipediaには定まった著者も編集責任者もなく、1つの項目に多くの人が関わり、間違った記述を修正し、不足を補いながら日々成長していく、という過程を踏んでいきます。 より過激ですね。そんなものがいやしくも百科事典として役に立つのでしょうか?
しかし、そもそもリアル世界で活字になって流通しているものだからといって、声高の一部の主義者たちのプロパガンダに利用されていないのでしょうか?何をもって彼らは有資格者なのでしょうか?百科事典には間違った記述はないのでしょうか? こんな調査があります。
米の科学専門誌「Nature」が、2005年に英語版WikipediaとBritanica百科事典を対象とし、各分野の専門家に調査を依頼するという興味深い調査を行っています。 結果、科学に関連する42の項目中、本質的で深刻なミスはそれぞれに4項目あり、誤記などの軽いミスでは、Wikipediaでは1つの記事あたり平均3.9件、Britanicaは2.9件発見された、ということです。
少なくとも科学分野でのWikipediaの信頼性は、ブリタニカ百科事典と同レベルであることがわかりましたが、私も含めた活字崇拝派としては“あの”Britanicaにそんなにもミスがあるのか…ということ自体が衝撃的でした。 Wikipediaは、黎明期からのインターネットの思想がストレートに反映された試みだと思います。 はたして、我々がインターネットを知った以後の世界でも、集合知は一部識者の専門知識に劣るのでしょうか?
Nature誌の記事が出たと同じ2005年、Wikipediaに個人を不当に中傷する記事が掲載され、本人から指摘され、削除されるまでに数ヶ月かかってしまった、という事件がおこっています。 この問題を大きく論点としているのは『ITにお金を使うのは、もうおやめなさい』の著者ニコラス・カーです。
中傷に近い誤記に気づいた本人は、すぐにWikipediaの責任者に連絡を取りましたが、誰がこの記事を書いたかは把握できない、というのがWikipedia側の答でした。 記載日の5月26日から4ヶ月以上たった10月5日、やっとこの記事はWikipediaから削除されました。Reference.com と Answers.com
から削除されたのは、さらにその3週間後でした。 膨大な数の不特定多数無限大の書き手によってなりたっているWikipediaの、記載内容の正確性を疑問視する声はあって当然です。しかし、それゆえの項目数の多さや速報性こそが、他の市販の百科事典に対しての差別化となっているのです。 上記の事件で明らかになったのは、誹謗中傷記事に対するWikipedia側の対応が、極端に遅かったということに加えて、誹謗中傷を行った人物が特定できず、野放しになってしまったままだということでしょう。 以前は誰でもが匿名で項目を立て、記事を記述/変更ができたのですが、事件以降、登録ユーザーのみが項目が立てられるように、早速変更されました。
Wikipediaの多くの記事は信用に値するが、すべての記事が正確に記述されているわけではない、すべては自己責任で…という常識的な結論になってしまいそうです。 更に、出典および著者の記載が必須の学術論文には、Wikipediaは引用することができないのが現実です。 しかし、入門レベルで何かを知りたい時には、とても便利なツールです。 Wikipediaというサイトがどういう仕組みで成り立っているのか読み手が知っていれば、なんの問題もないのです。書かれていることを無条件に信じてしまうことの方が問題なのではないでしょうか? 知りたい単語があれば最初に引いてみる「レファレンス」としてのWikipediaが私の使用法です。そのために常用ブラウザー「Firefox」の検索窓にWikipediaを追加登録しています。
必ずしもWikipediaで完結する必要はなく、とりあえず最初に見るWEBページとしての利用がベストです。完璧さを求めるのならば、ユーザー自身で精度を裏打ちしていけば良いのです。 百科事典の各項目は、いわゆる“識者”によって記述されなければいけないのでしょうか? 情報収集にはWikipediaの使用をお勧めします。 |
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| - [ 堀越 正男 ] - |






